2008年9月2日火曜日

『フライドチキンの恐竜学』


著者は盛口満という元教師の人です。
「鳥類の恐竜起源説について」とかいっても一般の人には興味もわかないし、面白くもないはずなのに、
「ニワトリの手羽には指は何本?」
「フライドチキンは何ピース集めると1羽分になる?」
と言った切り口で語ることでグイグイひきこんでいくパブリックアウトリーチのお手本のような本です。
イラストがまた可愛らしくてみてるだけでも楽しいです。

「骨からは”れきし”と”くらし”が見える」(骨の成り立ちには「進化」という時間軸と「生態」という空間軸の二面性がある)という切り口で、難しいはずの進化論をとてもやさしく面白く書いていくのですが、この”切り口”を発見するのに子供達との対話があって、そのエピソードも載っててそれがまた面白いです。

哺乳類の指の基本数は5本。これが”くらし”によりブタやキツネは4本。サイは3本。ウシやヤギは2本。ウマは1本となります。

ちなみにニワトリの手羽に指は3本。(この3本は親指、人差し指、中指で恐竜と同じであると言う説と、人差し指、中指、薬指であり、恐竜とは見かけ上の相似であるという説と二つの説があります。)
脊椎動物はもともと海で生まれました。最初に上陸した頃の両生類の足の数はまだ5本に限定されておらず、6〜8本の指を持つものがいたことがわかっています。
人間と鳥の共通の先祖は、約3億1000万年前の爬虫類にさかのぼり、この共通の先祖はすでに指は5本というデザインを採用していたそうです。

手(手羽)には3本ですが、ニワトリの脚には4本の指があって4本のうち、1本は後ろを向いています。これは親指。のこりの3本は人差し指、中指、薬指。ニワトリをはじめとする全ての鳥には小指はありません。

指の関節の数をみていくと、人間の場合親指が2個、その他の指が3個。ブタは親指が退化していますが、残る指の数は人間同様3個。中指たった1本となってしまっているウマも指の骨の数は3個です。
ニワトリの場合、親指は2個、人差し指は3個、中指は4個、薬指は5個ですが、こうした指を構成している骨の数も恐竜と一緒です。

哺乳類というと今でこそ世を謳歌している感じですが、実は他の脊椎動物から約3億1000万年前に分かれ独自の進化を遂げてきた少数グループに属する異端児です。
目の骨をもっていないのも特徴のひとつ。(他の類の生物には目の骨があるようです)
他にも哺乳類にしか見られない骨の特徴として首の骨の数があります。
人間の首も、なが〜いキリンの首も、はたまたあるのか分からないクジラの首も骨の数は7個です。

さて、フライドチキンは何ピース集めると1羽分になるのか?

正解は9ピース。(ウィング(手羽)×2、リブ(胸)×2、ドラム(もも)×2、サイ(腰)×2、キール(胸骨)×1)
キールの中にある「竜骨突起」に筋肉が付着することで鳥は空を飛ぶことができるそうです。

フライドチキンであっても骨をゆでて、入れ歯洗浄液につけることで骨の標本ができちゃうそうです。
(これも物語風に手順がのっているので読んでて飽きません。会社もマニュアルを物語風に書いたらもっと面白いのではないかと思っちゃいました)
今年は苦しんだ子供の夏休みの宿題、来年は”骨の標本”でいこうと思います。

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