2008年9月3日水曜日

『地球温暖化論のウソとワナ』


別段反エコ思想なわけではないのですが、反エコ本について第二弾です。
この本、伊藤元紀、渡辺正という横浜国立大と東大の教授が書いた本なのですが、この度のCo2削減騒ぎもかつてのダイオキシン問題と同じように、そのうち風化するという前提の過激な本です。

人間の健康問題と地球の気候変動問題の類似性を論じていて、Co2の問題は人間の生活習慣病に似ているので「体重減らせ(Co2減らせ)」とだけ言えばいいものではないと論じてます。
水蒸気の方がCo2より9倍も温室効果を発揮しているとか、エアロゾル(冷却効果があるそうです)による気候変動は野放しだとかを指摘しているのですが、すごいのは「そもそも地表の気温の定義などあいまいだ」と言い切っているところです。
長期の観測歴をもつ観測サイトは少ない(昔からの定点観測になっていない)。観測サイト数は近年大幅に減っている(観測サイトの場所も都市化している)。そもそもペンキの種類で百葉箱の測定データが変わる(最近はやりのラテックスペイント系だと旧来のホワイトウォッシュ系のペンキよりも照り返しの関係で高い観測データがでる。)などなどを論拠に「そもそも気温上昇なんていい加減」と述べています。

本当かなという気もしますが、1940年〜1970年にエアロゾルによる冷却効果で気温低下が見られた時には、地球が氷期にはいるのではないか、とまことしやかに言われたそうです。(それを提唱していた学者さんは今や温暖化警告の最右翼だそうです。。)


京都議定書に関しても削減義務を負っている国々のCo2排出量は世界全体の約26%なので、これを約5%減らしても(これが京都議定書で定めた目標値だそうです)全世界では26%×5%で1.3%しかCo2は減少しない。Co2排出大国のアメリカ(22%)や中国(18%)が参加しないとまるで意味がない。(ちなみに日本は全世界の約5%なので6%削減を達成すると世界的には約0.3%のCo2削減)
また、Co2削減の基準となる年が1990年というのもヨーロッパにやられていて、世界見回すと、Co2削減に苦しんでいるのは日本くらいと言っています。

排出権取引については、削減努力した国にインセンティブがあるシステムではないので、単にCo2排出の少ない国の丸儲けのシステムであることも一刀両断。
当然穀物からバイオ燃料をつくることに関しても、「人間性に対する犯罪である」という国連のメッセージを引用してこき下ろしています。


ヨーロッパは「科学的にきちんとわかっていなくても対応をとらないと危ない」という恐怖の感情からくる予防管理型。一方アメリカは「やって駄目ならやり方を変えればよい」という利益本能からくる順応管理型。
というわけで地球環境問題に関しては、「恐怖と利益」はあるが「理性」はないと言っています。

そもそも気温はあがっとりゃせん、と言いきられちゃうと温暖化は議論になりませんが、環境問題って温暖化だけではないはずです。

アル・ゴアの「不都合な真実」についても、イギリスで中学校の教材に使われることになったら「政治的色が強い」と裁判沙汰になって結局教材として利用する時は注釈つき(○○という意見もあります、みたいな注意書き)にする、ということで落ち着いたようです。

どうも環境問題って賛成派も反対派も意地になって極端なことを主張し合っているような気がしてなりません。
本当のところは真ん中くらいなんでしょうか。

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