国立新美術館にて行われた日本設計主催のセミナーでお世話になっている大野先生が講演するとのことで聞きにいきました。
1.人口減少・高齢化/都市の減少
2.エネルギー多消費社会/地球環境問題
3.どこへ行っても同じ風景/グローバリゼーション
といった世の中の流れを受けて「ファイバーシティ」という考え方を提案をしているという流れのお話でした。
この、「ファイバーシティ」というのはいくつかの要素があるようなのですが、その一つに「グリーンフィンガーをつくる」というのがあります。
駅から800m歩行圏は全て住宅地として設定する。商業や学校等はその駅から800mの縁辺に配置するというものです。
今の東京で言うと「井の頭線」のイメージとの説明でした。(すなわちロータリーがないので車は入らない。駅間の距離は1km足らずで短め。)
人口減少の話をしていて、日本の人口は'06年で12,777万人(高齢者比率20%)が、'55年には8,993万人(高齢者比率41%)になるといった話自体は何度か聞いた話だったのですが、
「現在首都圏の人口は3,500万人と言われているので、首都圏全ての人間がいなくなってしまうの以上のインパクトである。」といった説明をされていて、そりゃ大変だって気になりました。
どうせ減るなら早く減って、減るメリットを享受する方がよいのではないか、というのが大野先生の考えのようです。
人間の欲望の全てを吸収する大きさが東京の魅力であるとするならば、「大きくて小さいを両立させられないか」というのがこれからのテーマ。
20世紀式改革は「ご破算に願いましては」方式だが、これからはなかなか「ご破算に」とはいかない。
さらに、科学技術においては古代より近代、近代より現代が優れているが、建築は現代の方が良いとは限らない。
これからは継続ー引き算の考え方が重要になる。
これから新築は当たり前ではなくなる。
ーーーということをご説明されていました。
面白いと思ったのは
「旅行者は郷土料理を求めるが、地元民はスターバックス(世界の最先端)を歓迎する。
現代の都心住民はみな旅行者(バガボンド)。誰もが旅行者の目で都市を見始めている。
だから都心には近代以前の風景がアイデンティティとして残っているが、大半(約70%)を占める郊外では風景が似てきている(アイデンティティの欠如。風景のグローバリゼーション)。」という話。
アイデンティティをもった「郊外」の街、これは大きなチャレンジなのかな、と思いました。
あまり学術的なセミナーは行かないのですが、たまにはこういう講演を聞きにいくのも刺激になってよいかと思いました。
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