2008年12月16日火曜日

カマス理論〜”経験”は諸刃の剣



「学習性無力感」の話でカマスの話が有名なのですが、この話に付随してさらに思うことがあるので、ちょっと書いてみます。

カマスは肉食なので小魚を食べます。
小魚を同じ水槽に入れると、近づいて行ってバクっ。一瞬の早業です。
そんなカマスに対して実験のため、カマスと小魚の間に透明なガラスの仕切りをいれます。
そうするとカマスは何度か小魚にアタックしますが、当然透明ガラスに遮られて小魚を食べることができません。そのうちあきらめて小魚を追わなくなります。(これが「学習性無力感」です。はじめ聞いたときは「無力感は学習により付加される」と知ってびっくり!)
この状態からそ〜っとガラスの仕切りを取り去ります。
もうカマスを拒むガラスの仕切りはありません。
なのに無力感を学習してしまったカマスはもう小魚を追おうとしなくなります。
どうやら目の前に小魚が泳ぐような状態でも、食べようとしなくなるようです。

こういった無力感を学習してしまったカマスに、再度小魚を追わせるようにする方法があります。
やり方は簡単。新しいカマスを水槽に放つのです。
新しいカマスはガラスの仕切りなんて知りませんので、小魚を追ってバクっ!!
それを見ていた古参カマスも「なんだよ、食えんのかよ」とばかり小魚を食べるようになるそうです。

この話は「無力感は学習される」ということと、その”学習性無力感”を解消するには誰かがやってみせることが重要、という逸話として度々引き合いに出されます。

何故カマスなのか。ブラックバスじゃダメなのか。はたまた雷魚では?ということについてはよくわかりません。

ここからが個人的に付随して思うところです。
仮にカマスが話すことができたとします。
古参カマスが無力感を学習した後、「新人」という新しいカマスが水槽に入れられます。
当然新人カマスは何も考えずにストレートに”コト”を運ぼうとします。
小魚に突撃しようとする新人カマスに対して古参カマスが「おいおい、待て待て。そりゃもう試したよ。無駄無駄お金と時間の無駄〜」と言ってやめさせます。
新人カマスは「ふ〜ん、先輩が言うんならそうなのかな〜??」と思って突撃をやめます。(本当のカマスはこんな会話をすることはないでしょうが)
そうすると、この水槽の中では空想上のガラスの仕切りのために誰も小魚を食べられないということになります。

『経験』というのは効率的に業務を遂行する上で非常に強力な”武器”ですが、ややもすると新人カマスの(さらにいうと”組織”という水槽の)可能性を奪っているかもしれない諸刃の剣ではないかと思ってます。

最近はどうやら自分も古参カマス側になってきたようなので気をつけて業務遂行にいそしみたいと思います。


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